放課後はキミと。



――涙がようやく止まるころには。
自分の今の状況に、心臓が破裂しそうになっていた。


意識する。

押しつけていた目も鼻も、髪の毛一筋さえも。
触れているところすべてが発熱して。

自分の心臓の音で、頭が真っ白になって。


どうやってこの状況を終わらせればいいのかを考えているのに、この状況が終わってしまうのが名残惜しいあたしもいて。

……名残惜しい、なんて。
どうして、そんなこと思うんだろ。


「……落ち着いた?」

ふいに落ちてきた声は、耳に溶けた。
心地よくて、低音で、いつも子守唄がわりにしていた声。

「……うん。ありがとう」
ずるずる鼻がうるさい。
泣き顔が見られたくないのもあって、あたしはその場から動かない。

「俺ちょっとでしゃばったな。ごめん」
そういう涼村くんも、あたしを離そうとはしない。
「……ううん」
「まだ当分噂、続くかもしんないけど」

その言葉に、ずんと心は重たくなって。
嫌だなと思うけれど、耐えられる、とも思う。

「……うん平気」

あたしには紗世もいてくれるし、涼村くんもいてくれるから。
そしたら涼村くんは子どもをあやすように、ぽんぽんと頭を撫でてくれた。

「……つらかったらいつでも頼って。名目上は、彼氏だから」

その優しさとは裏腹の力強い言葉に。
完全にあたしの心臓は、射抜かれていた。


――ああ、そっか。

不意に落ちてきた気持ちはストンと心に落ち着いた。


名残惜しいとか、
名目上じゃなかったらいいのに、とか。
こんなにどきどきするのも落ち着くのも。
経験がないからとかじゃなくて。


ただ、

単純に。


あたしが、涼村くんを好きなんだ。