思わず顔を上げたあたしに、涼村くんは目を細めてニヤリと笑った。
「それが答え、なんじゃない?」
⋯⋯そうなのかな。
紗世も、あたしと同じ気持ちでいてくれてるのかな。
視野が狭くなっていたあたしは、ささやかなその希望にすがりつきたくなる。
「さ、さよに、きいてみようと、おもい、ます」
まだ喉につっかえてて上手く話せない。
涼村くんはうん。と笑って頷いてくれた。
「きっと、大丈夫だよ」
根拠もなくそういってるのだろうけれど、あたしの心は少し落ち着いた。
紙ナプキンで目元を拭いて、鼻をすする。
「ごめんな」
突然の謝罪に、あたしはなんのことかわからなくて、首を傾げる。
「俺のせいだよな、あの噂」
なんのことか思い当たって、意思表示も込めて首を左右に振った。
「涼村くんのせいだなんて思ってないよ」
だいぶ落ち着いていたので、涙声だけどちゃんと話せた。
「でもタイミング的に源たちだろ」
ああ、そうだね。あたしも、疑ってたよ。
今日の彼女達の視線は、嘲笑しているようで。
ざまあみろ、って言われてないのに言われた気がした。
でも。
やっぱり涼村くんが悪いとは、思わないよ。
「俺の噂は否定しといたから。気休めにしか、ならないかもしれないけど」
「……ありがとう」
涼村くんが否定してくれてることだけで、少しはマシになってることを祈るしかない。



