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あれ以来、源さんは少しの間学校を休んで。
残りの二人は出席してたけれど、涼村くんとも目も合わさず。
源さんが戻ってきても涼村くんと距離をとっているようだった。
そして源さんが復帰したその日の放課後。
下駄箱を開けると、こんもりとローファーに砂の山ができていた。
「…………」
目の前の光景に一瞬絶句したあと、気が一瞬遠くなった。
心当たりは……ある。ひとつだけ。
あの日の彼女の涙が、もう涼村くんによりつかなくなっていて、でも視線は彼を追う彼女の姿が頭に蘇る。
……気持ちは、わからないわけじゃない。
片思いしていた男の子にこっぴどくふられて、気持ちの行き場がなくて。
あたしに八つ当たりすることで自尊心を取り戻そうとしたい気持ちは、理解できる。
理解できるけれど、も。
ちょっと、勘弁してほしい、かも。
こんもりと溜まっている砂入りローファーをとって、床にひっくり返す。
無感情に砂が落ちていくのを眺めながら、わざわざこの砂とってきたのかな。なんて思う。
ぱんぱんと靴先をたたいて砂を落としたあと、ローファーが砂埃で少し白かった。
これは、ちょっとめんどくさい。
帰ったら洗おうかな。
呑気にそんなことを思って、あたしは帰路へとついた。
でもこれは、始まりに過ぎなかった。



