放課後はキミと。



今後のことを思案していると、

「なにやってんの」

渦中の方が登場されました。


突然教室のドアが開いて涼村くんが入ってきたものだから、彼女たちはばつが悪そうにあたしと距離を置いた。

それはまるで、コントみたいでそんな状況ではないのに面白かった。


「深月、これは……!」
「や、言い訳とかいいから。途中から聞いてたし」
言い訳を述べようとする三人に、涼村くんは強い口調でそう言った。


どす黒いオーラが彼の後ろに見えるのは気のせいかな。

口元は笑ってるけど、目は笑っていない。
どうやらすごく怒ってるらしい。


「あのなあ、俺の交友範囲をどうこう言われる筋合い、神田たちにないんだけど?」
目を彷徨わせて縮こまる彼女たち。
それは小学生がいたずらをして担任に見つかった時みたいな感じだ。

「彼女でもないのに」
切れ味抜群の言葉が、それぞれの胸に刺さったのがみえたような気がした。

神田さんも野宮さんも顔をうつむかせたけれど、源さんだけはぐいっと顔を上げて、涼村くんに泣きそうな顔を向けた。


「あ、あたしは、深月のこと好きだもん!!」


突然の告白に、涼村くんだけじゃなくて神田さんも野宮さんも目を瞠っていた。

そんな現場に居合わせたあたしも、いたたまれない気分になる。


「……あんさ」
数秒の沈黙の後、涼村くんは告白された人とは思えないような冷たい口調で話し始めた。
「俺のこと好きとかいうけどさ、俺がこんなことする女、好きになると思うの? 仮に好きだったとしても、幻滅するくらいの勢いなんだけど」
「…………!!」


うっわこっわ涼村くんこっわ。
こんなこと好きな人にいわれたら死ねる。


あたしにいわれたわけでもないのに身震いするその口調は、源さんにも効果絶大で。
源さんは耳元まで真っ赤にして、ぎゅっと拳を握っていた。

そんな姿を見られたくなかったのか、次の瞬間には何も言わず、教室から飛び出していった。


「ちょ、なつみ……!」
一瞬ののちに、残りの二人も源さんを追いかけていく。


取り残されたのは、あたしと涼村くん。


…………えーと。


「ずいぶんタイミングが良かったね?」
颯爽と現れる姿はタイミングをうかがっていたとしか思えないくらい完璧だった。
「教室で勉強してるの見られたらしくて、今日聞かれたんだよね。それでまさかな、と思いつつ、卯月待ってた」
「でも教室にいなかったよね?」
「トイレ行ってた。んで帰ってきたら、あいつらとこの教室に入ってるのがみえた。もしかしたら勘違いかもしれないし、ちょっとだけ様子うかがってたけどどう聞いてもつめよられてたから」

なるほどね。
タイミングをうかがう涼村くんを想像したら少し笑えた。

「心配してくれたんだ?」
ちらりと伺うと、気まずそうに肩をすくめる。
「俺のせいでこんなことになってるのに、さすがに無視はできないだろ」
「でも助かった。ありがとう」
「……ごめんな」
お礼を言ったあたしに、涼村くんは小さく頭を下げた。
「涼村くんに謝られる筋合いはないのだけど」
感謝を伝えたのに謝られるのも、おかしな話だ。
「や、こういうことするやつらだって、なんとなくわかってたのに、何も考えずいった俺の責任だし」
気まずそうに首に手をやる彼に、あたしはどういったものか考える。

「……うーん? まあ、なにもされてないし大丈夫だよ?」
リンチされてたら恨んだかもしれないけど、未然に防がれたので害はなかった。
「てか、俺のせいでこんなことなんの、やなんだよね」
「でもあたしにも涼村君にもどうしようもないっていうか?」

「…………」

「…………」


そして。

お互い顔を見合わせて、吹き出した。