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涼村くんの補習は相変わらずスパルタだったけれど。
でも、前よりかはあんまり嫌じゃなくてなってて。
あたしも、だいぶこの生活に慣れたような気がする。
涼村くんとの補習がなくて、掃除当番を終えて教室までの帰り道。
渡り廊下を歩いていると、「卯月さん、ちょっといい?」と呼び出されました。
教室まで荷物を取りに行き、そのまま教室横の空き教室に連れていかれた。
残念ながら教室にはすでに誰もいなくて、あたしはリンチされたらどうしようと冗談でも笑えないことを考えていた。
呼び出したのは、涼村くんの取り巻きだ。
涼村くんをいつもハートの目をして追いかけている女の子たち。
「あの子ら、涼村くんに一目惚れして、それからずーっとアプローチかけてるみたい。相手にされてないみたいだけどね。それをだれか奪おうものなら、どうなるかわかんないし」
紗世の言葉が、何度も頭をよぎる。
平穏に学校生活を送りたいあたしにとってこの状況は、絶対に避けたかったことだった。
空き教室に入ると、三人組はくるりと振り向いた。
どうみても、好意的な目線ではない。
明らかにあたしとはタイプが異なるので、今まで話したことはなかった。
全員校則違反ぎりぎりの化粧をしているし、いつもファッションの話か恋愛の話しかしているイメージがない。
おぼろげだけど、名前はたしか、源さんと神田さんと野宮さんだ。
三人とも腕組みをして、今からこいつどうしてやろうかというオーラを醸し出している。
「……とりあえずさあ」
口火を切ったのはショートカットの野宮さんで、
一瞬手で髪をなびかせて、鋭い目つきであたしを捕らえる。
「ひとつきいてもいいかなあ」
声色は甘ったるいしゃべり方だけど、刺々しい感情は消えていなかった。
「なんでしょうか」
身構えながら、固い表情のまま返す。
「深月と、付き合ってんの?」
……深月って、だれだっけ。
だれのことか思いつかなくて一瞬困惑したあたし、
いらいらした様子で、野宮さんは繰り返した。
「涼村深月と付き合ってるのか、聞いてるの!」
……あ、深月って涼村くんのことか。
そういえばそんな名前だったな。
むしろ呼び出される理由がそれしかないのだけど。
「付き合ってません」
はっきりと断言したあたしに、その場には明らかに安堵した空気が流れた。
でもそんな空気もすぐにピリと凍てついた。
怖いんですが。



