――そういえば。
ふと時間を見ると22時半を過ぎていた。
「あの、涼村くん」
呼びかけてみると、涼村くんはぴくっと反応してゆっくりとあたしに視線を合わせた。
「もしかして、ずっと待ってたの?」
そうだった。
あたしはバイト終わりで。
それなのに彼がいて。純粋に、疑問だったんだ。
思い返せば終わる時間は聞かれたけれど。
「家に一回帰ったよ」
確かに買っていたポテチは手元にない。
「わざわざ戻ってきたの?」
気まずそうに黙る涼村くん。
言いにくそうにしてたけれど、あたしがじっと見つめていたからか観念したらしい。
「気になったから」
ぽつんとつぶやいた。
「……なんか、今度とかだとタイミング逃しそうだったし」
理由付けをする涼村くんはなんだかふてくされてて。
それが妙に、彼も同じ歳の高校生にちゃんとみえておかしかった。
思わずくすっと笑うと、睨みつけられた。
「俺は、あんたの命運を握らされてるから」
だから当然だ、という彼の言葉は、言い訳にしか聞こえなかった。
「……そっか。がんばるね、英語」
「当たり前だ。これで赤点とったら、あんたほんとに信じられない」
いつのまにかいつもの調子に戻った涼村くん。
それもなんだかおかしくて笑ってしまうと、涼村くんの睨む目がまたきつくなった気がした。
でも全然怖くなかった。
考えるといつの間にか。
涼村くんへの苦手意識はなくなっていた。



