放課後はキミと。



***

「あんたさあ、ほんとに英語できないよね」
くるくるペンを回しながら、涼村くんは冷淡に吐き捨てた。

一週間で、あたし的には自分でも驚くほど英語ができるようになった気でいたというのに。
疑問詞やよく見る動詞なんかはわかるようになったし、まだ書けないこともあるけど、断然前よりは成長している。ような気がする。

「そう、ですか?」
「そこの問題、半分ぐらい間違ってる」
「え、でも半分あってるってこと?」
ぱあっと顔を輝かせたあたしに、涼村くんはもはやため息すらつかなかった。ただ冷たい目があたしの顔につきささる。

うう。半分もできるとか、奇跡に近いのにあたしてきには。

「ポジティブだね」
うなだれたあたしに落ちてきたのは意外な言葉。
そっと視線を上げると、さっきとは違ってちょっと笑ってる。
笑っているというよりかは、にやって感じだけど。

あれ、冷たく見られてたわけではない?

「英語は壊滅的だから、半分もできただけで奇跡」
「うん。そうだろうね」
あっさり肯定されるとそれはそれで複雑なような。

最後まで解き終えて、涼村くんに答案を渡す。

「お願いします」
「ん」
涼村くんはそれを受け取ると、小気味いい音を立てて赤ペンのキャップを外して、丸付けを始めた。


……確かに、悪い人、ではないのかな。


紗世の言葉がそっと頭に蘇る。

週3回補習するって、結構多いよね。
涼村くんだって自分の勉強もあるのに。
それになんだかんだ英語わかりやすく教えてくれるし、口は悪いけど宿題とかテストとかも作ってきてくれる。

……でも、こーゆうソツないところが人間らしくないんだよねえ。

そんなことを思ってしまうあたしは、性格が悪いのかしら。


「ん、返却」
そうこうしているうちにテスト用紙が返ってくる。

結果は半分あってて、半分間違ってる。
さきほどの言葉の通りだ。
でもこれも、だいぶ進化したなあとあたし的には感じる。