「三鈴の誕生日祝い。ホテルのディナー予約してるからって」

そんなこと言ってたっけ・・・と12時間ほど前の記憶を引っ張り出してみる。いや、光春くんが寝る前ってことは私はもう半分意識が飛んでいたに違いない。うん、絶対そうだ。ちゃんと起きてる時に言ってよ、とジト目で彼を見るも「いいから、早く」と急かしてくる。

「はい」

私は重い腰を上げて立ち上がる・・・が、私が我が物顔で居座っているのは光春くんの家だ。最低限のお化粧品しか持っていないし、何より着替えがない。

「・・・今から家に着替えに帰ってもいい?」
「そのままでいいよ」
「いや無理でしょさすがに!」