「別に役作りでも何でもないから」
「そうなの?ん〜・・・じゃあキャラ変とか?」
「それも違うから」

そう言われて首を捻る。
他の答えが出てこない私の正面で、天音くんは食器を重ねて席を立った。
そして私を見下ろして、口角を上げる。

「点数稼ぎだから」
「え?」
「だって、今のままじゃまだ良い返事もらえなさそうだしね」
「・・・え、」

慌てて声を上げる私を置いて、天音くんは「ごちそうさま」とキッチンに消えてしまった。

「・・・これが、voyageの裏稼業、外堀埋め職人」

聞こえないように小さく呟いたつもりだったが、あっちまで聞こえていたらしい。

「変なこと言うとその口塞ぐよ」
「ごめんなさい」