「キング!!」

すぐさま立ちあがり、頭のてっぺんから足の先まで確認する。

けれど、

「あれ……どこも、怪我してない?」

てっきりボロボロになって帰ってくるものだと思いきや、着衣の乱れなんてひとつもなくて、顔や手足を見ても傷なんて見当たらない。行く前と何も変わっていなかった。

「な、なんで……? 痛いところはないの?」

「何を期待してたんだよ?」

「き、期待してたわけじゃ……」

ただ、無事に帰ってくることがわかっていれば、こんな物買わなかったのに。そう心の中でつぶやいて、持っている袋を後ろに隠す。

「何それ」

「あっ……」

私の動きを見逃さなかった彼は、すぐに手を伸ばして、私の手から袋を奪う。

「……」

「手当て、必要かなって……。でも、ごめんね。ここに戻ってくる意味、なかったね」

中を覗いても無言だったキングは、無駄足をふませたことを謝る私を静かに見つめてくる。

「金ないって言ってたくせに」