別れさせ屋に依頼をした私の結末

先に階段を下りていく彼。

後をついていく私は、ふと、聞きそびれていたことを思い出す。

「そういえば、依頼料っていくらなの?」

聞かなくちゃと思うばかりで、ずっと質問できずにいた話。

「私、おこづかい少ないし、貯金もあんまりないんだけど……」

動いてもらうのだから、きちんと払えるよう、今からでも貯めなくちゃ。

そう思って聞いたのだけれど、足を止めた彼は振り返りながら言う。

「いらないよ、金なんて」

「……え」

すごい金額を言われやしないか構えていただけに、拍子抜けしてしまう。

てっきりお金をもらって商売をしていると考えていたのに。

「あ、じゃあ、何で払えばいい?」

お金じゃないのなら、何か、それに代わるものを求められるのか。

そう思って聞きなおすと、彼は「そうだな~」とつぶやいて、遠くを見る。

口ぶりは軽いのだけれど、その表情は次第に真剣になっていき……。

けれど、それも長く続かず、キングは独り言のように言った。

「らしくねーな、俺も」