別れさせ屋に依頼をした私の結末

動揺したのを見逃さなかった彼は、たたみかけるように続ける。

「好きだったんだろ？　せっかく依頼するんだから、俺には本音で来いよ」

その口元はもう微笑んではいない。

「……なんで？」

なんで知ってるの？

私、岡垣くんを好きだったことは誰にも言ってないのに。

「なんでなんでって……。そこ、とぼける必要ある？」

「っ、とぼけてなんか……！」

動いていないと言いながら、そんなことを調べていた彼。

でも、“調べる”って、どうやって？

誰も知らないこと、なんで知ってるの？

「付き合ってるふたりを別れさせて、自分がオカガキと付き合えばいいじゃん」

「……っ」

驚きのあまり、うまく返事ができない。

「わざわざテラオケンジと別れさせて、何がしたいわけ？」

「私……」

岡垣くんのことなんて好きじゃない。そう言おうとしているが、平静を保つだけで精一杯だ。