――相良くんの存在を知ったのは、今年の春。代表委員会がある日の放課後だった。

各クラスの学級代表たちが、委員会を終えて西館の会議室から、バラバラになって戻ってきたのだけれど、その中に彼もいた。

第一印象は「身長が高くて目立つのに、とても地味な人だなぁ」だった。長い前髪も、猫背なことも、もったいなく思ったのだ。

委員会が繰り返されるごとに、代表たちも交友関係が出来たのだろう。最初はバラバラだった人たちが、そのうち、数名ずつに分かれて戻ってくるようになって。

でも、相良くんだけはずっとひとり。

私は、そんな彼を自分と重ねて見ていたところがある。

人見知りが激しくて、話しかけられたら緊張して空回りするタイプの私。

きっと、相良くんも同じなのだろう。勝手にそう思って、ひそかに応援していたのだけれど……。



「ていうか、君さ~、いきなり来るの無しね。本当は、この後、他の依頼主と会う約束だったのに。来るってことがわかって、慌てて日時変更。わかってる? こういうの迷惑だから」

「ご、ごめん……」

「後、探しているとはいえ、俺の容姿をペラペラと他人に話さないこと!」

「……それは軽率でした」

「“キングだったりする?”とかさ、違ってたらどうすんの? “キングって誰?”ってなるでしょーが!」

「ほ、本当にごめんなさい」