別れさせ屋に依頼をした私の結末

「ごめん、美奈」

大樹には、悲しんでいる私の顔が、怒っているように見えるのかな。

「ちょっと考え事をしてて……、部活のこと。……ごめん、もう一度言って?」

部活だなんて、見え透いたウソ。

「……ごめん」

何度謝るつもりなんだろう。

私は怒ってもいないのに。

「大樹がすぐ謝るようになったのって、私のせいだよね……」

付き合う前の大樹は、そんなことなかった。

付き合ってからも、最初のケンカは私から謝ったくらいで……。もっと、どっしり構えていた人だった。

「私がすぐ怒るから、大樹はすぐ謝るようになった」

「ごめ……、あ……」

言ったそばからまた謝ろうとした彼に、思わず笑みをこぼしてしまった。

でも、目の前の大樹はまだ、私の顔色をうかがっている。

その様子を見ていたら、ここに来るまでの電車の中で、ぼんやりと考えていたことは、もうできないなと察した。

「……言わなくてもいいかもって思ったんだけど……もう、ダメだね」

独り言のようにつぶやくと、大樹は首を傾げる。皮肉にも、そのきょとんとした表情を愛おしく思ってしまう私がいる。