「私たちも、行こ」
「……あ、うん」
私以上に動揺をしている大樹。
ふたりの後ろ姿を見つめる彼は、昼間の寺尾のように、失恋した男の表情をしている。
遅れて、後を追うように校門を出たけれど、ふたりの姿はもう見当たらなかった。
──電車に乗って、遊園地を訪れた私たちは、チケットとパンフレットを手に入園する。
「……あ、乗り物が増えたみたいだよ」
ここに来るまでの間、大樹はずっと静かだった。
「そんなに時間もないから、本当に乗りたいものだけ乗ろっか」
少し前までは、大樹が間を作らないよう気遣ってくれていたのに、今は逆。
私はひたすら話題を振り続け、大樹はうなずくだけだ。
けれど、
「……」
とうとう、大樹の耳に私の声は届かなくなってしまった。
彼はうんともすんとも言わず、一点を見つめ、ただただ歩くだけ。
「大樹……」
足を止めて声をかけると、数歩前に進んでいた彼は、振り向いて私との距離に驚いている。
「ご、ごめん!」
慌てて、そばへと戻ってくるけれど、その表情はまだ険しい。
「……」
やっぱり、マチのことが……。
大樹の気持ちが誰に向いているのか、はっきりわかる瞬間だった。
「……あ、うん」
私以上に動揺をしている大樹。
ふたりの後ろ姿を見つめる彼は、昼間の寺尾のように、失恋した男の表情をしている。
遅れて、後を追うように校門を出たけれど、ふたりの姿はもう見当たらなかった。
──電車に乗って、遊園地を訪れた私たちは、チケットとパンフレットを手に入園する。
「……あ、乗り物が増えたみたいだよ」
ここに来るまでの間、大樹はずっと静かだった。
「そんなに時間もないから、本当に乗りたいものだけ乗ろっか」
少し前までは、大樹が間を作らないよう気遣ってくれていたのに、今は逆。
私はひたすら話題を振り続け、大樹はうなずくだけだ。
けれど、
「……」
とうとう、大樹の耳に私の声は届かなくなってしまった。
彼はうんともすんとも言わず、一点を見つめ、ただただ歩くだけ。
「大樹……」
足を止めて声をかけると、数歩前に進んでいた彼は、振り向いて私との距離に驚いている。
「ご、ごめん!」
慌てて、そばへと戻ってくるけれど、その表情はまだ険しい。
「……」
やっぱり、マチのことが……。
大樹の気持ちが誰に向いているのか、はっきりわかる瞬間だった。



