別れさせ屋に依頼をした私の結末

「いっぱいウソついたから……」

悪くないわけがない。私は、マチにも、大樹にも、ひどいことをした。

言葉を返すと、寺尾は間髪入れずに唇を開く。

「だからさ、もう言っちまおーぜ?」

「っ、言うって……」

言えるわけない。

言えば、きっと、マチとの関係は今以上に険悪なものになるし、大樹だって……別れを選択するはずだ。

そうならないよう、これまで必死に隠してきたのに……。

「言うんだよ。言わねぇから、こうなってんだろ?」

寺尾は話すことをすすめてくる。

「マチ、絶対……私を軽蔑する」

「それは言ってみないとわかんないんじゃね?」

「大樹も、さすがに見切りをつけるかも」

「……知らんけど、岡垣のことは。……でも」

寺尾の目はまっすぐで、ひとつも曇りがない。

少しマチに似てる気がした。

「水城と岡垣、ふたりに全部話して、それで軽蔑されたり見切りつけられたら……。そんときは俺ら……」

寺尾は話の途中で黙り込む。

不思議に思っていると、彼は目を泳がせ、迷うような素振りを見せた後、かたい表情で私を見つめた。

「俺んとこに来ればいいじゃん」

俺らと言わず、俺と言い直す彼。