「マチだけには……言いたくない」
マチは大事な友だちだけど。
でも、大樹に恋をする私にとっては、ライバルでもあるから、言いたくない。
言葉を詰まらせていた私が、ふりしぼるようにそう言うと、マチはひと言「わかった」とだけ返してきた。
リュックを背負って、教室を出ていく彼女。いつもより速い足音で、怒っていることが読み取れる。
「……」
ひとり残された私は、机をじっと見つめ、下唇をきゅっと噛む。
サイテーだ、私。
マチから大樹を奪ったくせに、奪われる心配をするなんて。
「……もうやだ」
こんな自分、本当に嫌だ。
ずるくて、醜くて。
第三者の目で自分を見ても、思う。私って何も魅力がないなって。
マチはすごくいい子で、私とは正反対。
大樹も、きっと思ってる。選択を間違えたな、と。
「っ……」
彼の心境を想像した瞬間、一気に涙があふれた。
机に置いた自分の手が、荒くにじんでいく。
下まぶたで抑えきれなかった涙のつぶが、頬へと流れ落ちたとき、
「……松山」
突然、寺尾が教室に入ってきた。
マチは大事な友だちだけど。
でも、大樹に恋をする私にとっては、ライバルでもあるから、言いたくない。
言葉を詰まらせていた私が、ふりしぼるようにそう言うと、マチはひと言「わかった」とだけ返してきた。
リュックを背負って、教室を出ていく彼女。いつもより速い足音で、怒っていることが読み取れる。
「……」
ひとり残された私は、机をじっと見つめ、下唇をきゅっと噛む。
サイテーだ、私。
マチから大樹を奪ったくせに、奪われる心配をするなんて。
「……もうやだ」
こんな自分、本当に嫌だ。
ずるくて、醜くて。
第三者の目で自分を見ても、思う。私って何も魅力がないなって。
マチはすごくいい子で、私とは正反対。
大樹も、きっと思ってる。選択を間違えたな、と。
「っ……」
彼の心境を想像した瞬間、一気に涙があふれた。
机に置いた自分の手が、荒くにじんでいく。
下まぶたで抑えきれなかった涙のつぶが、頬へと流れ落ちたとき、
「……松山」
突然、寺尾が教室に入ってきた。



