「え、まだ誰かいたんだ……」
「もう行こ」
水道の蛇口を閉めてからの足音が遠くなる。
しんと静まった女子トイレの中。
便座のフタの座り心地の悪さに疲れた私は、個室を出て、自分もそこに立つ。
手を洗いながら思い出すのは、昨夜から送られているマチからのメッセージ。
【きついこと言ってごめん】
怒っていた彼女から、突然、謝られた。
どう返せばいいかわからず、返事できずにいたら、今朝、また連絡がきて。
【今日少し話したい】
今度は話し合いを求められた。
「……」
正直なところ、今はまだ話すのがこわい。
“最近の美奈、ちょっと苦手”
正しい彼女と、間違えている自分。次話せば、その違いがはっきりする気がして。
避けて、トイレに逃げ込んで。大樹にも、マチにも、真正面から向き合えない。
「……ブサイク」
鏡に映った自分が、醜く見える。
自業自得なのに。
真正面から向き合えないのは自分のせい。
ふたりの気持ちを無視して、沢山ウソをついてきたからだ。
「もう行こ」
水道の蛇口を閉めてからの足音が遠くなる。
しんと静まった女子トイレの中。
便座のフタの座り心地の悪さに疲れた私は、個室を出て、自分もそこに立つ。
手を洗いながら思い出すのは、昨夜から送られているマチからのメッセージ。
【きついこと言ってごめん】
怒っていた彼女から、突然、謝られた。
どう返せばいいかわからず、返事できずにいたら、今朝、また連絡がきて。
【今日少し話したい】
今度は話し合いを求められた。
「……」
正直なところ、今はまだ話すのがこわい。
“最近の美奈、ちょっと苦手”
正しい彼女と、間違えている自分。次話せば、その違いがはっきりする気がして。
避けて、トイレに逃げ込んで。大樹にも、マチにも、真正面から向き合えない。
「……ブサイク」
鏡に映った自分が、醜く見える。
自業自得なのに。
真正面から向き合えないのは自分のせい。
ふたりの気持ちを無視して、沢山ウソをついてきたからだ。