スマートフォンを触って、前やってたカードゲームを開く。

寺尾と並木にそのアプリを見せている間、ふと、教室の外に目を向けてみたら。

「っ!」

マチはまだ教室の前にいて、なぜかそこにいる大樹と立ち話をしていた。

「……」

楽しげに話すふたりと、蚊帳(かや)の外にいる私。まるで1年前に戻ったかのようだ。

「ん? あれって……松山の彼氏?」

「うん」

「行かなくていいの?」

私の視線をたどった寺尾から、顔を覗きこまれる。

「……いい」

ふたりに気づかなかったふりをして、ゲームの話に戻る私。

「水城! ポニーテール似合ってる!」

今日のマチは、珍しく髪の毛を結んでいた。そのことに触れる大樹の声が、窓際の席にいる私の耳にも届いた。

「このゲーム、半年くらいやってたんだぁ!」

これ以上、ふたりの会話を聞きたくなくて、声が大きくなる。

様子が変だと思われているのだろう。寺尾と並木は、大声を出したことに少し驚いているようだった。