陽射しが弱くなり、いつの間にか室内は蛍光灯の光だけで照らされていた。

――“別れさせ屋との縁”。

席を立って、彼の向かいの席まで歩く私は、並べられた6枚のカードを静かに見つめる。

「確率は6分の1、サイコロと同じだね。チョロいもんでしょ? ジョーカーだけ引かなければいい話なんだから」

彼はニカッと歯を見せて陽気に微笑み、「どうぞ」と囁いてくる。

その笑顔を見て、改めて思う。こんな人、うちの学校にいたっけ、と。

近づいたことではっきりとわかる、整いすぎた顔立ち。

こんなにかっこいいならもっと有名なはずだけど……。

数少ない友達のひとりに、イケメン大好きな女の子がいる。その子から聞いて、この学校のかっこいい人はほとんど知っているが、その中にこんな容姿の男子生徒はいなかったと思う。

不審がりつつも、視線をテーブルの上に戻す。

確かに優しいのかもしれない。ジョーカーは5分の1から6分の1になったのだから、私が普通のカードを引く確率はぐんと上がった。

「これにします……」

パッと目を引く1枚を手に取って、表を向けたまま彼に差し出した。

「負けたらちゃんと諦めてね」

カードをすんなり受け取る彼は、私がうんとうなずくのを確認してから、カードの裏に目を通した。