別れさせ屋に依頼をした私の結末

「んー、でもイチャイチャしてなかった?」

「……“イチャイチャ”?」

キスのこと、キングから聞いていたのかな。

「松山と岡垣にも言ってたよね、靴箱んところで。“今いい感じだから”って」

「っ!」

「あんとき、俺と寺尾も近くにいたんだよね」

“靴箱”と聞いて、いつの話なのか気づく。

並木は、キングが岡垣くんに私とのキスを見せつけた日のことを言っているのだと。

「あの日、松山が岡垣と遊園地に行く約束をしてたから、寺尾がさー……“仲直りすんのかも”って不安がってて」

「ど、どこにいたの?」

「靴箱んとこでふたりが来るのを待ってた。そしたら、水城とキングがイチャイチャしはじめるし……」

「っ!」

「あれにはビビった。“水城、キングとそんな感じになってんのかよ”って」

「ち、違うの! イチャイチャしてたんじゃないの!」

「え~?」

ニヤニヤされて一気に顔が熱くなる。

あれはキングの作戦だったし、イチャイチャしていたわけでもなかった。

でも、そのときの私は、キスは対価だと思いつつも、その行為にはドキドキしていたから。

そんな姿を他人に見られていたことが、たまらなく恥ずかしい。