「……っ、水城!」

なぜか、突然肩を掴まれ、引き止められる。

強引に体の向きを変えられる私は、慌てるその姿に驚いて言葉を失う。

「あ……、ごめん。……なんでもない」

目を合わせると、彼は我に返ったと言うかのような表情で謝り、ぎこちなく腕を引く。

とっさの行動だったのだろうか。

キングは戸惑うような顔をしながら、そばを離れ、先に図書室から出ていってしまった。

ひとりにされた私は、触れられた肩に手をそえる。

「……何それ。……っ」

声にならない声でつぶやくと、こらえていた涙が一気に溢れ出した。

「……最低」

せっかく、笑顔で終わらせていたのに。なんで、最後の最後でそういうことをするの……。

「また“好き”って……、思っちゃうじゃんか」

引き止められたとき、胸がぎゅっと締めつけられた。

とっさにとった行動なのかと思ったその瞬間、期待する気持ちがわいてしまった。

だけど、何も言わないでひとりにさせるのなら、そんな姿は見せないでほしい。

「っ、もうやだ……」

視界が涙でゆがんでいく。



ねぇ、キング。

この気持ちはどうしたらいいの。