別れさせ屋に依頼をした私の結末

けれど、

「好きなんだけど、付き合いたいとまでは思えないの」

一緒の時間が増えて、好きだなと自覚するたびに、彼を遠く感じてしまう。

「ずっとこのままでいたいな、って……」

「いやいやいや、“このまま”はダメでしょ」

今の気持ちを話すと、美奈はすかさずツッコミを入れてくる。

「はたから見れば、今のマチはあの人の手のひらの上でいいように転がされてる」

「……んー、転がされてるわけじゃないんだけど」

依頼のことを知らないから、美奈からすれば、私は遊ばれているように見えるのだろう。

完全に悪いイメージを抱いているみたい。

「なんて言えばいいのかなぁ……」

他にいいエピソードはないかと、これまでを振り返っていると、彼女はまぶたをぎゅっと閉じ、深々とため息を繰り返す。

「ごめんね、マチ……。私ね、今度こそは応援しようって思ってたんだよ」

頭をかきながらの言葉。

「前は、自分も同じ人を好きだったから、マチの応援なんてしてこなかったし……。だからこそ、次は、私にも出来ることがあるなら協力もしたいなって……そう思ってた」

「……美奈」

「でも、その人は……。いつか、マチのことを泣かせるように思えて、心からの応援はできない」

ぐしゃぐしゃになった彼女の髪。

私は小さく笑って、手を伸ばし、からまった毛先をといていく。

「……ありがと、美奈。でも大丈夫だから」

微笑みかけると、彼女は口をとがらせて、しぶしぶといった様子で口を開く。

「……まぁ、応援はする。でも、“このままでいい”とは思わないで?」

「んー、うん……」

「キスをするってことは、脈ナシではないってことなんだから! 多少なりとも、マチのことを“かわいいな”とか“好きだな”って思ってるはず!」

「……んー、そうなのかなぁ」