別れさせ屋に依頼をした私の結末

「美奈……?」

聞いても何も返さないので、今度は顔を覗き込んでみると、

「絶対やめた方がいい、そんなヤツは」

美奈は強い口ぶりで、持っていたお弁当箱を地面に置くと私の肩を掴んでくる。

「ええ……」

「“ええ”じゃない。しっかりしてよ、マチ。なんでそんなヤツに引っかかってるの」

「“そんなヤツ”って……」

どうして反対するの?

私は言ったはずだ。つらい時期に話を聞いてもらい、たくさん励まされ、彼の言葉のおかげで美奈との関係も諦めずにいられたのだと。

「だってそうでしょ。付き合ってもないのにキスっておかしいよ!」

「あー、それには……ちょっと理由があって」

「“理由”って何?」

「……それは言えないんだけど」

仲直りもできたことだし、誤解をして別れさせ屋に依頼をしたという話も、正直に打ち明けようかなとも思った。

けれど、キング宛のDMでは、まだ【今日のお昼は美奈と食べるから図書室へは行かない】としか送っていないし、依頼をしたことを話していいのか聞けていない。

下手なことを言ってキングに迷惑をかけるのは嫌だから、言うのは控えることにしていた。