スマートフォンのアラーム予約を変え、40分早く起きた朝。

顔を洗って食卓へ向かうと、お父さんはまだ出社せずにコーヒーを飲んでいて、お母さんもまだベランダで洗濯物を干していた。

できてないお弁当の盛り付けと朝食の準備を自分でしたから、結局、家を出たのは20分前。

いつもと同じルートを駆け足で歩き、いつもよりは空いている電車に乗って、駅前のバスターミナルへ。

ベンチに腰かけてからまもなくして、一台のバスが到着する。

もう一本遅いバスで来ると思っていたから、そこから彼女がおりてきたときは、駅までの道を走っておいてよかったとホッとした。

「おはよう、美奈」

私に気づいて足を止めていた彼女に声をかけた。

一緒におりてきた他の生徒たちは、すでにバスのそばから離れている。