――登校して、自分の教室に入る前、C組の開けっぱなしのドアから中を覗いてしまった。彼の席がどこなのかを知りたくて。
私は廊下での彼しか知らない。
キングの正体が相良くんだったとわかってからは、廊下で見かければ意識していたけれど、こんなふうにC組での彼を見たいだなんて思うことはなかった。
「……いないか」
まだ登校していないのか、残念ながら、黒髪姿の彼はいなかった。
また後で見に来よう。そう心の中でつぶやいたとき、
「水城!」
背後から名前を呼ばれた。
「……岡垣くん」
朝練の後なのだろう。体操着姿の彼が駆け寄ってきた。
岡垣くんは私の元へ来ると、話し始める前に一度、D組の中を見る。
「美奈? ……まだ来てないみたいだけど」
「あ……、ううん」
美奈に会いに来たのかと思ったのだが、岡垣くんは首を横に振り、私に向かって何か言いたげな顔をする。
首を傾げ、ここに来た理由を探っていると、岡垣くんは開きかけた口を一度閉じ、間を置いてからニカッと歯を見せて微笑んだ。
私は廊下での彼しか知らない。
キングの正体が相良くんだったとわかってからは、廊下で見かければ意識していたけれど、こんなふうにC組での彼を見たいだなんて思うことはなかった。
「……いないか」
まだ登校していないのか、残念ながら、黒髪姿の彼はいなかった。
また後で見に来よう。そう心の中でつぶやいたとき、
「水城!」
背後から名前を呼ばれた。
「……岡垣くん」
朝練の後なのだろう。体操着姿の彼が駆け寄ってきた。
岡垣くんは私の元へ来ると、話し始める前に一度、D組の中を見る。
「美奈? ……まだ来てないみたいだけど」
「あ……、ううん」
美奈に会いに来たのかと思ったのだが、岡垣くんは首を横に振り、私に向かって何か言いたげな顔をする。
首を傾げ、ここに来た理由を探っていると、岡垣くんは開きかけた口を一度閉じ、間を置いてからニカッと歯を見せて微笑んだ。



