あしたのあたし

誰もいないと思ってたのに声が!

「は、はい、入ってますっ!」

って、焦ったあまりあたしは何を言ってるんだ。

「入ってますって、トイレかよ」

あきれたような、だけど優しく笑いかけるような声で、その人は入ってきた。

「なんだ、佐倉か。俺だよ、高槻ジュン。驚かせてごめんな」

「ううん、いいの。って、『なんだ、佐倉か』とは何? そうですよ、あたしは佐倉マキですけど何か?」

「いや、逆ギレされても困るんだけど」

……………

数秒間流れる沈黙。気まずい。その沈黙を打ち破るべく、あたしは高槻君に話しかけた。

「…高槻君は、どうして教室に? みんな帰っちゃったよ。もしかして忘れ物?」

沈黙を打ち破る会話としては、無難じゃないだろうか。そう思っていると、高槻君の口から思いもよらない言葉が出てきた。