初恋時計。

【君のもとへ。(愛夜side)】
日差しが照りつける正午。私たちは摩耶のふるさと、福島県の田村市に訪れていた。
そこはとても自然に溢れていて、とても美しい場所だった。
都市部と違い、空気がとても心地よかった。
ご近所付き合いは盛んだったのか着いてすぐ沢山の人に出迎えられた。

けれど、真耶が本当に笑っているようには見えなかった。

「こちら、幼い頃からお世話になった春さん。」
彼女は顔をしわくちゃにして笑っていた。
私達はお辞儀をし、春さんに手招きされ私達は春さんの住む家に向かった。

家に着き、真耶は春さんにあることを尋ねていた。
「そういえば功は?着いてから見ないんだけど。」
功という名前を聞いて、さっきまでの笑顔は消え真剣な表情に変わる。
「功ちゃんは、肺癌亡くなった。」
と、春さんは悲しげな表情で言った。
その言葉を聞いて、彼女が壊れてしまう。そんな感じがした。

【君のもとへ。(真耶side)】
功が死んだ?そんなの聞いてない。
また癌か……。
私が大切にしてた人はみんな死んでいくのかな。
「功いつ亡くなったの?」
私は春さんに問いかける。
「去年の8月よ。訃報を聞いたのは今年入ってから。」
8月か…….。早いなあ。
「何で功がなくなったこと教えてくれなかったの?」
「功ちゃんが言わないでって言ってたから。葬式は家族と親戚、それと私だけだった。
それに、学校が順調だって聞いてたから邪魔したくなかったのよ。」
私は無意識に唇を噛んでいた。
それだけ悔しくて、自分が情けなかったからだ。
「コ…ウ……。」
私は静かに彼の名を呟いた。

「お客様ですか?」
振り返るとそこには幼いころに功にあげたはずのブレスレットをつけたロボットがいた。