「他に汗が気になるとこ、ある?」
口づけるのをやめて、耳元で翔くんにそう尋ねられて、吐息で耳がくすぐったくなる。
「せ、背中、拭けてなくて…」
そう言うと、翔くんは新しい汗拭きシートを片手で取り出し、少しだけ私から体を離すと、背中の方にも手を差し込んできた。
新しいシートがちょっとひんやりしていて気持ちいい。
翔くんの手がゆっくり私の背中を上下して、ゾクゾクする。
「今日、どうやって学校来たの?バス?」
「ううん、自転車。この時間帯、本数少なかったから。」
相変わらず翔くんの手は私の背中を撫でているのに、何気ない会話を交わす。
「次のバスで来ても良かったんじゃないの?暑かっただろ、自転車。」
「だって…早く会いたくて。」
「なにそれ。…かわい。」



