五十嵐くんに、食べられそうです。


「ひゃっ!」



思わず大きな声が出て慌てて両手で口を塞ぐ。


翔くんは、私を抱き上げたまま、扉の方を見つめて、耳を澄ませてるみたい。


下から見上げても、翔くんの横顔は相変わらず端正で、かっこよくて、またドキドキしちゃう。


私達はしばらくそうやってじっとしていたけど、何事もなさそうだと確信してから、ようやく翔くんが私を抱え直してベッドに向かった。


「廊下に声が漏れないようにな。」


「ご、ごめん…」


小さな声で注意する翔くんに、私も小さな声で謝った。


翔くんはそのままお姫様抱っこ状態で私をベッドまで連れて行って、ゆっくりベッドにおろしてくれた。


翔くんもベッドに乗ると、先に布団に体を入れて、体を横向きにしたまま、私を見上げた。


「今日も、添い寝してくれる?」


「…いいよ。」


私がにっこり笑ってそう言うと、翔くんは嬉しそうに「やった。」って言って笑った。


そして、私の体も優しく横倒しにしてくる。