「俺は優等生でもなんでもないよ。カッコつけてるだけ。」

さっき罪悪感がーとかなんとか言ってたけどそれも本心でないのだろうか。今までの優等生ぶっていたのも…。
ドラマにも出演してる俳優はすごいなと感心はしたがあまり興味はない。

「ふーん。なんでもいいけど早く出てってよ。」

それよりも気になるのはこの空間に私以外の人がいること。人がいる空間は私にとって苦痛でしかない。

「……ここにいちゃダメ?」

私の隠す気もないストレートな厄介払いにも苦言を呈せず、あざとく上目遣いで許しをこうてくる。
私の心のくすぐり方をよく知っている。情けなくも許すところだった。

「………だめ。」

「ふーん。どうしてもダメっていうなら無理矢理にでも綾那を授業に連れて行くけど。」

類は窓の鍵に手をかけながらつんと口を突き出して拗ねたようにいう。 
顔はとても可愛らしいのだが、言っている内容は脅しだ。
……三田の言ってた腹黒って、合ってるのかもしれない。

「…………」

「これでも鍛えてるんだから綾那一人ぐらい余裕で担いでいけるよ。」

開けられた窓から吹いた風で髪を靡かせ、類は自分の腕を軽く叩きながら自信満々に笑った。
その姿はCMにでもありそうなほど爽やかで綺麗だった。