「…三田、聞こえてるぞ。」
さすがに類も怒るかと思い見遣ると怒りを通り越して呆れていた。
「別に隠そうとしてないし。」
三田は反省の色を見せず、開き直った。
……なんなんだ。コイツらは。
本当に騒がしいし自由すぎる。
ーーでも、こんなのも悪くないかも、なんて思ってしまった。
***
それからというもの。案の定、何かあればすぐ話しかけられるようになった。三田以外。
三田はいつも通り接触がなくてありがたい。
特に類。最近は前より私に近づいてくる。
私が寝てたら注意してくるし…休み時間とか昼休みは毎回話しかけられるし…。
そして今日は…
「へえ…音楽室か…。」
彼は珍しいものを見るように部屋の中を眺め見る。その姿は好奇心に溢れた子供のようだ。
「…………」
「なかなか居心地の良い場所だね。埃っぽさもそんなにないし…掃除したの?」
そう言いながら笑う。
「掃除はした。…ねぇ、ここにいても良いことないよ。授業戻ったら?優等生の類くん?」
類は昼休み後、サボろうとこの教室に向かう私について来たのだ。最後までついてくるとは思わず、放っておいたら着いてしまった。
はやく類を追い出したい私は嘲笑を交えながらそう言う。気を悪くして出ていったら良いなという期待もこめて。

