友達の前ではこんな表情もするんだ。
さすが新人俳優とでも言うべきか…切り替えがすごい。

「私も類に賛成。うるさいし。」

安達の声はというと教室全体に響き渡っている。しかも普段話さない私や人気者の類もいるからとにかく目立っている。…視線が痛い。

「お前ら地味にひでぇ…。」

傷ついたやらなんやら言ってる安達はほっといて私は未だブツブツと呟いてる三田に話しかけた。

「ねぇ、席交換しない?」

「……いいの?」

私にも得のある提案をすると、なんということでしょう。
さっきまで思案顔だった顔が、救いが現れたとでもいうような希望に満ちた顔に様変わり。
……コイツ、もしかして結構単純?

「うん、私もここ嫌だし。」

「ちょっ、ちょっとストップ!席の交換はだめってさっき先生が言ってたよ。ルールは守ろうね。」

コイツらから少しでも離れたい私は席を変える気満々だったのに、真面目くんの類が焦ったように口を出してきた。

「……類真面目すぎ。」

「ほんとそれ。もうちょっとで席変えられそうだったのに。……類の頭でっかち。腹黒男。」

三田は毒舌という情報が増えました。
正直いらないけど。
あと類って腹黒なんだ。知らなかった。
ーーこの情報もいらないな。