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今日は席替えの日。別にどこになっても今まで通り…
そう、思ってたのに……。
「……ねぇ、なんであんたたちに囲まれないといけないの?」
まさかこんなことになるなんて…誰が想像しただろうか。
「いや〜くじでこんな結果になるなんてなぁ…。」
前を見ればいつも通りすごい大きな声量で話す安達。
「……女子が周りに少ないだけ、まだマシか。」
後ろを見れば私をチラチラ見ながらぶつぶつ呟いている三田。
「綾那、またお隣よろしくね。」
隣を見れば綺麗な笑顔を浮かべた類。
「…………はあ。」
自然と溜め息が溢れてくる。…いや絶対コイツら仕組んだだろ。…三田以外。
「おいおい一ノ瀬、溜め息つくなんてどうした。俺が悩みを聞いてやろうか?」
友達と近くなって嬉しそうな安達は私の
「……あんたたちのせいだよ。」
「え〜ひどーい。仲良くしようよ〜!」
「ぶりっ子やめて。……てか、あんた彼女いるんでしょ。私といていいの?」
昼に一緒に食べてる時すごい惚気てたから覚えていた。あの時の安達の顔は…うん。やばかった。
「ああ、美織?あいつは俺のこと、信じてるって言ってくれてな〜。俺、愛されてるんだよな〜。」
(コイツ、マジうざ…)
顔もさっきと同じような顔をしている。この惚気顔は日常茶飯事らしい。
「安達、惚気話ならよそでやれよ。うざい。」
類はいつもの笑顔を消して冷酷な顔で毒を吐いた。

