こいつらはいい奴だからできればライバルにはなりたくないが……もし二人が綾那のこと好きならば、なんとしてでも綾那の視界から排除するしかない。

そんなことを考えている事を二人は夢にも思っていないだろう。

自分でも流石に重すぎると思うけどこれが俺なんだから仕方ない。


「あー。フリーだったら狙ってたかもしんないけど、今はマジで可愛い彼女がいるしな!」

安達はその彼女のことを思い出しているらしく、だらしない顔になっている。
チラッとその横を見ると三田は安達を冷たい目で見ていた。

安達……その顔はやめたほうがいいと思うよ。


「ああ……安達は彼女持ちか。」

「俺は恋愛は興味ないし、まず女が苦手〜。」


「へぇ。三田ってチャラそうな見た目してんのに。」

失礼だけど意外だと思ってしまった。 

三田は茶髪にパーマをかけていて、耳にはピアスをつけている。
普段も服を着崩しているみたいだし、見事にチャラ男が出来上がっている。


「ははは……。これ、ウチの姉貴が勝手にやってくんの。よくチャラ男だと間違えられるよ。」

「三田のねぇちゃん美容師ですごいおしゃれな人でさ。三田も苦労してんのよねー。」

「ふぅん。」

三田の事情は置いといて、とりあえずライバルがいなくてよかった。これで問題なく二人と過ごせるな。

(……こんな俺のことを知ったら綾那は引くかな。……もしかしたら受け入れてくれる…?いや、それはないか。)

引かれて嫌われる可能性があるのなら、俺は何がなんでも俺のこの独占欲を隠し通す。

それほど、綾那が好きなんだ。