類side
「……寝ちゃった。早すぎだろ。」
「ははっ!いつもこうだぞ。教室にいるときはな。」
「なんでこんなにすぐ寝られるんだろうな〜。羨ましいよ。」
昨日、特に仲良くなった友達が頬杖をつく俺に話しかけてきた。
先に話したほうが安達、後に話したほうが三田だ。
二人ともアイドルとしての『逢崎類』じゃなくて、私生活での『逢崎類』を見てくれる数少ない人だ。
だからこれから彼らとは仲良くしたいと思っている。
他の奴らも上部ではうまくやっているが…あいつらはアイドルと仲良くなって自慢したいとか、俺にあやかってモテたいとか、下心が丸見えで正直関わりたくなかった。
俺はチラッとこちらに背を向けて寝ている綾那を見る。
彼女に好印象を与えられたら…とつい優等生ぶってしまった。
真面目も疲れるもんだな。
俺は内心苦笑いを浮かべる。
「綾那っていつも寝てんの?」
俺は綾那を見つめたまま二人に聞く。
「ああ。そうだよ。珍しく起きてる時は窓の外見てるし。」
「そうそう。ていうか、一ノ瀬さんのこと下の名前で呼ぶ奴初めて見た〜。」
「なー。みんな高嶺の花とか言って話しかけたくても話せない空気作ってるし。クラスメイトなのにな。」
「……へー。俺だけなんだ。ていうかそう言うお前らは綾那と仲良くなろうと思わないの?」