類はまだしつこく話しかけてくる。
類はスタイルが良くて足が長いからたぶんすぐに追いつかれる…
現に足音がさっきより近くなってる気がする。
…と、言うことは…もしかして……

「……」
私は眉根を寄せる。
(…これ、答えない方が逆に目立ってる?)

「あーやーなっ!おはよ!」

私はついに堪忍して立ち止まり答えた。

「……おはようございます。」

私が無愛想にそう言うと

「ははっ!なんで敬語なの」

なんて、類は愉快そうに笑う。
その笑顔は昨夜テレビで見た時よりも眩しく見えた。


「一緒に教室行こー」

類はさりげなく私の隣に並んで歩き出したから
それに釣られて私も一緒に歩き出した。

(……視線が痛い。やっぱ目立つよね〜…)

チラッと隣の類を見上げた。

春の暖かい風でふわっと広がる明るめの茶髪。
少しだけタレている目元に弧を描く薄い唇。
細いが引き締まった体。

まるで女性の理想を詰め込んだかのような容姿をしている。
そりゃあモテるよね……。


はぁ、またコソコソと噂される未来が見える…
こちらをチラチラ見てコソコソと話されるのはあまり心地の良いものではない。

学校がより憂鬱になってしまった。