次の日の朝、私はいつもと同じように支度をしたら家を出る。
昨日は丸々サボってしまったから今日は流石に出席しないと…
(学校、面倒だな。)
校門をくぐると朝から賑やかな声が至る所から聞こえてきた。
すぐ隣でも騒がしく話している女子たちがいるがいる。
彼女らは興奮したようにその場の誰よりも大きな声で話していた。
「昨日のアレ、やばかったよねー。」
「それな!マジかっこよかった〜」
「って、あっ!噂をすれば…!」
彼女達はそのような会話を交わすと向かっていた方向から逸れてすでにくぐった校門の方に走って行った。
かと思うと…
「「キャーーーっ!!!」」
「やばっ!マジかっこいいんだけど」
「同じ学校とか幸せすぎっ!」
女子のグループが走っていった方向、校門辺りから悲鳴が聞こえた
……元々騒がしかったのにより一層うるさくなった。
(何事…?……ああ…なるほど。)
眉根を寄せて振り返った私の目線の先には女子に取り囲まれ、ニコニコと笑いながら対応している類がいた。
(……アイドルって大変そうだな。)
そんな事を考えて彼に背を向けた瞬間。
「……あっ!いち…じゃなくて、綾那!」
背後から聞き覚えのある声で名前を呼ばれ、反射的に振り返った。
「え…」
校門辺りを再び見ると類が満天の笑顔でこちらに手を振っていた。
………見なかった事にしようかな。女子からの嫉妬が怖いし。
私は目を背けるように目を閉じてまた歩き出した。
「えっ!?ちょっ…まさかの無視!?おーい綾那〜」
わかりやすいほどの無視をしたのに類はめげずに大きな声で話しかけてくる。
遂にはこちらに向かってくるではないか。
私は無言で歩き出す。
「……」
(目立っちゃうじゃん…最悪……。早く諦めて…。)
「おーい。聞こえてますかー?綾那さーん。」

