……あざとい。小首を傾げて上目遣いにコチラを見てくる。絶対に自覚ありだろう。
……かわいい。まさに犬!逢崎の頭に犬のミミが見える…。
私の目に加工機能が追加されました。
我ながら犬への愛が半端ないわ……
「一ノ瀬さん?」
逢崎の声で現実に戻る。
はっ!馬鹿なこと考えてぼーっとしちゃってた!
「まあ、ちょっとなら……いいけど。」
「ホント!?やったぁ!!」
(……やばい、子犬にしか見えなくなってきた。ああっ!子犬が期待してコチラを見ている!)
(って、はっ!落ち着け、私!あれは人間、あれは人間……)
私は好きなことになると興奮して周りが見えなくなってしまう。
(気を取り直してっと……。とりあえず…さっき歌ってた曲でいいかな。)
イヤホンをはめ直して音源を流す。
「♪〜〜…♪〜〜」
ああ、やっぱり歌うのは楽しい。
現実の事を考えなくても良いこの時間が大好きだ。
歌う時は歌う事に集中していられる……。
「〜〜♪……ふぅ…」
「おおっ!すごいね!すうっっごくうまかった!」
「……ありがと」
イヤホンを外していると横から逢崎が身を乗り出して褒めてくれた。
飾り気のない言葉で褒められて照れ臭いが、素直に嬉しい。

