トクベツにならないで〜独占欲の強い少女は人気アイドルになびかない〜


今日も学校から家に帰らずに、直接いつもの公園に来ていた。
今日もここで時間をつぶす。

いつも、ぼーっとするか、スマホをいじるか…あと音楽を聞くか、ってかんじ。

今日は音楽を聞いて過ごそうかなと思いながらベンチに腰掛ける。

イヤホンをはめて今流行りの曲が入ったプレイリストを流すと、耳から様々な音が聞こえてくる。

穏やかな音、賑やかな音、激しい音、悲しそうな音……

あ、この曲良いかも。悲しそうな音に重なるメロディがその歌詞を引き立てている。

ここのメロディは……

「……〜♪」

うん、いい感じ。私の声域にも合ってるし、良さそうだな

「っ!え……一ノ瀬さん?」

「……♪〜」

あ、ここ結構音高めだ。でも余裕で出るし大丈夫そうかな。よし、次はこの曲を……

「おーい。一ノ瀬さーん。」

次の瞬間、私の視界の中に大きな手が割り込んできたから、後ろに倒れそうになってしまった。

「っ!?………なに?」

驚いたが、平静を装って体勢を直しつつ、邪魔をした男を睨む。
考え事をしていた所を邪魔された私は不機嫌度MAXである。