この半年間で、今までにない緊張感が竹田に走る。竹田はまさかと思いながら、溝内の横に立ち、マンションの出入り口を見た。2人は水面に浮かぶワニのように、視線だけは向いていた。そこには、黒い帽子にサングラス。マスク姿の男らしき人物がいた。この半年間で見たことのない人物に、溝内と竹田は直感した。圓岡だと。
 男はマンション内に入っていくと、溝内は竹田に言った。