アンハッピー・ウエディング〜前編〜

午前中いっぱいかけて、新校舎の中庭やグラウンド周辺の掃除、ゴミ拾い、草むしりなどを行い。

午後くらいは解放してくれるかと思いきや、そんなことはなく。

午後はひたすら、新校舎の花壇の世話をさせられた。

馬車馬のように働かされる、とはこのことである。

今更だけどこれ、生徒の仕事か?

金持ちのお嬢さん学校なら、花壇の世話くらい業者に頼めよ。

心の中で散々愚痴りまくりながら、何時間も掃除し。

女子部の新入生達が京都から帰ってきたであろう時刻に、俺達はようやく解放された。

三日間に渡る掃除地獄が、やっとこさ終わった。

「ぐぇぇ…。疲れた…」

雛堂は喉を締められた鶏みたいな声を出して、だらしなく机に突っ伏した。

…気持ちは分かる。

「つーか、お土産は?あんなに掃除頑張ったんだから、生八ツ橋くらいもらっても良くね!?」

まだ諦められないらしい。

生八ツ橋…はさすがに無理だけど。

「スポーツドリンクもらったじゃん」

さっき帰りのホームルームで、「皆さん、三日間お疲れ様でした」って。

担任教師が、新入生全員にスポーツドリンクのペットボトルを一本ずつ配ってくれた。

喜んで良いのか微妙なところだよな。

何ももらえないよりはマシ…なのかもしれないが。

「スポドリだと?自分達の三日間の苦労は、たかがスポドリ一本分だと思ってんのか!?」

雛堂の気持ちも分かる。

いっそ何もくれない方が良かったかもしれない。遠慮なく悪態をつけるから。

中途半端に中途半端なものをもらってしまったが故に、悪態もつけない。

生徒達に責められない、ギリギリのラインで持ちこたえてんなーって。

「スポドリなんて、自販機で買えるじゃん!スーパーで買ったら、一本百円未満だろ?最低時給を守れよ!生八ツ橋持ってこーい!」

雛堂、未練タラタラ。

そんなに好きなのか?生八ツ橋。いい加減諦めろ。

喚いたってどうにもならないだろ。もう終わったことなんだから。

そう。これでようやく掃除地獄は終わったんだ。

週末ゆっくり過ごして、来週から始まる授業に備えようぜ。

「畜生、学生だと思ってこき使いやがってよー…。よし。ここいらで憂さ晴らしに、ぱーっと豪遊しようぜ」

と、雛堂。

「何だよ、豪遊って…」

「カラオケ行こうぜ。自分と、星見のお兄さんと乙無のお兄さん。いつメン3人で」

いつメンって。俺達今週出会ったばかりなんだが?

もういつメンになってんの?早くね?

…いや、それより。

カラオケ…。…カラオケねぇ。

俺、この辺地元じゃないから、何処にあるのか知らないけど…。

近くにあるのか?学校の近くに。