「無月院一族ってすげー金持ちでさ、家柄もご立派らしいぜ。そこのお嬢様なんだぜ?あの立ち居振る舞い、いかにもって感じするよなー」
雛堂は好奇心丸出しの表情で、うきうきとそう言った。
…うん。
まぁ、見た目だけなら…そう思うのも無理ないかもな。
まさか雛堂も、あのお嬢様がちょっと前まで、箱買いしたカップ麺を主食にしていたとは思わんだろうな。
敢えて言う必要もないだろう。知らぬが仏という奴だ。
「はー、やれやれ。折角新校舎を掃除してやってんだから、あんな高嶺の花とお近づきになってみたいもんだね」
…そうか?
どうしてもって言うなら、紹介してやっても良いけど。
でも、知らない方が良いと思うぞ。
いくら見た目がお嬢様と言えども、中身もそうとは限らない、
「あっ、見ろよお兄さん、あの無月院のお嬢様がこっち見た!」
「は?」
雛堂に言われて、くるりと振り向くと。
じー、っとこちらを見つめるお嬢さんと目が合って、俺は急いで目を逸らした。
あぶねっ。
いや、別に疚しいことなんて何もないけど。
こんなところで、皆の前でお嬢さんと喋ったりしたら、どういう繋がりがあるのか勘繰られそうだし。
それによって、余計な気遣いをされるのも嫌だし。
出来れば、クラスメイトには内緒にしておきたい。
しかし、そんなことは全く知らない雛堂は。
「やっべ。無月院のお嬢様と目ぇ合った。凄くね?凄くね?」
凄くねーから、ちょっと静かにしてくれ。
それと、お嬢さんが見てるのは雛堂じゃなくて、もしかしなくても俺なのでは?
あのお嬢さん、クラスメイトに俺達の関係を隠すつもりはあるのだろうか。
こんなところで、下の名前で呼んで、親しげに話しかけられたら。
さすがに無関係です、としらばっくれられないぞ。
頼むからこっち来ないでくれ、と心の中で祈る。
すると、俺の祈りが通じたのか。
お嬢さんは、しばし、じーっとこちらを見ていたようだが。
ふいっ、と顔を背けて、すたすた歩いていってしまった。
…どうやら、難を逃れたようだな。
ホッ。
「男子部の掃除係にも視線をくれるなんて、良いお嬢様だなぁ」
雛堂は…何だか誤解してるようだが、誤解させておこう。
「さすが無月院家のお嬢様。懐の広さが違うよ。なぁ?そう思わね?」
「あぁ…うん…」
そういうつもりでこっちを向いた訳じゃない…とは思うけど。
「さっきまであれだけ愚痴ってたのに、お嬢様に視線を向けられただけで満面笑みですか。…これだから人間という生き物は」
と、乙無は呆れたように溜め息をついていた。
詮索、されなくて良かった。助かったよ。
雛堂は好奇心丸出しの表情で、うきうきとそう言った。
…うん。
まぁ、見た目だけなら…そう思うのも無理ないかもな。
まさか雛堂も、あのお嬢様がちょっと前まで、箱買いしたカップ麺を主食にしていたとは思わんだろうな。
敢えて言う必要もないだろう。知らぬが仏という奴だ。
「はー、やれやれ。折角新校舎を掃除してやってんだから、あんな高嶺の花とお近づきになってみたいもんだね」
…そうか?
どうしてもって言うなら、紹介してやっても良いけど。
でも、知らない方が良いと思うぞ。
いくら見た目がお嬢様と言えども、中身もそうとは限らない、
「あっ、見ろよお兄さん、あの無月院のお嬢様がこっち見た!」
「は?」
雛堂に言われて、くるりと振り向くと。
じー、っとこちらを見つめるお嬢さんと目が合って、俺は急いで目を逸らした。
あぶねっ。
いや、別に疚しいことなんて何もないけど。
こんなところで、皆の前でお嬢さんと喋ったりしたら、どういう繋がりがあるのか勘繰られそうだし。
それによって、余計な気遣いをされるのも嫌だし。
出来れば、クラスメイトには内緒にしておきたい。
しかし、そんなことは全く知らない雛堂は。
「やっべ。無月院のお嬢様と目ぇ合った。凄くね?凄くね?」
凄くねーから、ちょっと静かにしてくれ。
それと、お嬢さんが見てるのは雛堂じゃなくて、もしかしなくても俺なのでは?
あのお嬢さん、クラスメイトに俺達の関係を隠すつもりはあるのだろうか。
こんなところで、下の名前で呼んで、親しげに話しかけられたら。
さすがに無関係です、としらばっくれられないぞ。
頼むからこっち来ないでくれ、と心の中で祈る。
すると、俺の祈りが通じたのか。
お嬢さんは、しばし、じーっとこちらを見ていたようだが。
ふいっ、と顔を背けて、すたすた歩いていってしまった。
…どうやら、難を逃れたようだな。
ホッ。
「男子部の掃除係にも視線をくれるなんて、良いお嬢様だなぁ」
雛堂は…何だか誤解してるようだが、誤解させておこう。
「さすが無月院家のお嬢様。懐の広さが違うよ。なぁ?そう思わね?」
「あぁ…うん…」
そういうつもりでこっちを向いた訳じゃない…とは思うけど。
「さっきまであれだけ愚痴ってたのに、お嬢様に視線を向けられただけで満面笑みですか。…これだから人間という生き物は」
と、乙無は呆れたように溜め息をついていた。
詮索、されなくて良かった。助かったよ。


