アンハッピー・ウエディング〜前編〜

翌日。大掃除最終日。

草むしりも無事、昨日のうちに終え。

もう何処も掃除する場所はなくなっただろう、と思いきや。

三日目に掃除させられたのは、なんと。

「…まさか、こんな形で新校舎に来る羽目になるとは」

三日目、最終日の掃除場所は…まさかの、新校舎であった。

新校舎の花壇の手入れと、中庭の掃除、グラウンド周辺の掃除を頼まれた。

朝学校に来て、担任教師に「今日の掃除場所は新校舎です」と言われたときは、思わず耳を疑ったよ。

何で新校舎?

新校舎は女子部の建物なんだから、女子部の生徒が掃除しろ。

しかも、掃除場所は花壇とか中庭とか。

新校舎を掃除しろと言いながら、野郎共を校舎の中には入れるつもりはない、という強い意志を感じる。

これには雛堂も真顔で、そして無言でホウキを動かしていた。

もう何も言うことはない、と?

乙無も無言だし、他のクラスメイトは…まさか女子部の新入生が、今頃京都旅行を楽しんでいるとも知らず。

仕方ないなぁみたいな顔で、うんざりした様子ではあるけども、やっぱり黙って掃除に勤しんでいた。

拒否したくても出来ないし、俺も仕方なく…竹箒とちりとりを持って、新校舎の中庭にやって来た。

旧校舎は雑草伸び放題だったのに、新校舎の中庭は、掃除する前から綺麗なもんだった。

素朴な疑問なんだけど、何で学校の中庭に噴水があんの?

つるバラのアーチとか、洋風のパーゴラとか、全く学校に必要ないと思うんだけど。

何の為についてんの?お茶でもすんの?学校で。

勉強をしろ。学校は勉強をするところだろうが。

すると。

「全然意味分かんねぇんだけど。何で自分達、新校舎の中庭掃いてんの?」

ずっと無言でホウキを動かしていた雛堂が、ふと立ち止まり。

息を吹き返したように、改めてくるりとこちらを向いて尋ねた。

…今更かよ。

「今聞くのかよ…」

「我に返ったんだよ。あれ?自分何やってんだろ?って」

あっそ。

分からないなら教えてやるよ。

「掃除してんだよ。…新校舎のな」

「…はぁぁぁ?自分らの校舎くらい、自分で掃除しろや!」

…全くだな。

旅行行く元気があるなら、中庭の掃除くらい出来るんだろ。

「何で自分らが、使いもしねぇ新校舎の掃除をしてんの?掃除夫じゃねぇっての!」

雛堂はそう言って、竹箒を放り出した。

ストライキに出たか?今更遅いと思うけどな。

「朝、担任が言ってたじゃないですか」

ちりとりでゴミを取りながら、乙無が言った。

「旧校舎の生徒も、たまに新校舎を使わせてもらうことがあるから。そのお礼に掃除しに行ってこいと…」

「体良く言ってんじゃねぇわ。男子部の生徒が新校舎を使う機会なんて、滅多にない癖に」

ましてや、中庭で優雅にお茶会…なんて。

俺達には当然、望むべくもないのに。