アンハッピー・ウエディング〜前編〜

まぁ、そうだな。

あんなに立派な新校舎があって、立派な講堂やら体育館やらを見せられて。

見せびらかすだけ見せびらかしておいて…入学式が行われるのは、このボロい旧校舎の体育館だなんて。

誰が想像するよ?

入学式を男女別に分けるにしても、もう少し狭い部屋でも良いから、せめて新校舎でやって欲しかったよ。

いくらでも空いてるスペースあるだろ。あんなに広かったら。

ましてや、男子部の新入生はこんなに少ないんだから。

女子部みたいに派手に入学式やってくれ、とまでは言わないから。

もうちょっと…なんか、マシな方法はなかったのかと、もやもやする。

「小さい教室でも良いから、新校舎を貸してくれれば良かったのにな」

と、俺は雛堂に言った。

しかし。

「無理無理。女子部の連中が、男子部に気を遣ってくれる訳ないじゃん。第一、入学式だけ新校舎でやったって、余計惨めになるだけじゃね?」

…?

「どうせ、普段はこっちの旧校舎で過ごすことになるんだし…。だったらいっそ、入学式から卒業式まで、旧校舎でやった方がマシってもんだよ」

「…」

「まぁ、たまに新校舎を貸してもらえるらしいけど?図書館とか、パソコン室とか。授業で必要があるときだけ。あと…掃除のときだけか」

「…」

「それ以外のときは、ずっと旧校舎で過ごすことになるんだし。酷い男女差別だよ、この時勢に。なぁ?」

「…」 

「…さっきからどうしたよ?豆鉄砲食らったか?」

いや、俺鳩じゃないから。

そうじゃなくて…雛堂の言ってることが理解出来ないだけだ。

「どういうことだ?雛堂。旧校舎で過ごすことになるって…。入学式だけ旧校舎でやって、普段は男子部の生徒も新校舎で過ごすんじゃ…」

てっきり俺は、入学式だけ、場所がないから旧校舎を使うのだとばかり。

入学式が終わったら。新学期が始まったら。男子部の生徒も新校舎に教室があって…。

学校のパンフレットに、自慢げに載せられていた…新校舎の最新設備を使わせてもらえ、

「んな訳ないじゃんよ。新校舎は女子生徒以外、立ち入り禁止なんだぜ?」

雛堂は、そんなことも知らないのかと言わんばかりの口調。

…マジ?

「何の為に、男子部の開校と同時に新校舎が建てられたと思ってんのさ?それまで学校にいた女子生徒を新校舎に移して、新しくやって来る男子生徒に旧校舎を使わせる為なんだよ」

衝撃の新事実。
 
入学式だけ旧校舎で…なんて、俺の考えが甘かった。

入学式どころか、俺達男子部の生徒は、これから毎日。

綺麗な新校舎を横目に、細い坂道を上って、このボロい旧校舎に通わなければならないらしい。