アンハッピー・ウエディング〜前編〜

…ま、いっか。

放っといたら、平気でパジャマや下着姿で一日を過ごそうとするくらい、着るものに興味ないみたいだし。

それなら、わざわざ興味のないものに大金払うより。

ファッションセンターいまむらで、お手頃な値段の服を何着か買うべきだ。

興味のないブランド品を持っていても、持て余すだけだからな。

それに俺、ブランドモノの価値なんて分からないし。

貧乏性で悪かったな。

でも俺、イミテーションでも全然区別つかないタイプだから。

庶民で結構。

価値の分からないブランド品を偉そうに身につけるより潔くいまむらファッションで、堂々と街を歩くよ。

いまむらファッションだって悪くないだろ?

貴族の晩餐会に呼ばれた訳じゃない。ただ普段着にする為の服なんだから。

ブランドモノである必要は無し。ってことで。

幸い、お嬢さんもそこのところを気にするタイプじゃないようだしな。

本人が納得してるなら、それで良い。

いまむらだろうと、古着だろうと、俺のお下がりよりはマシだろ。

「分かった。じゃあ、近くのいまむらに行くか…」

「やったー」

お嬢さんにとっては、人生初のいまむらだろうな。

果たして、無月院のお嬢様に、そんな庶民のお店を勧めて良いものだろうか…。

尊いお嬢様に、庶民の服を着せるなど。

本家のお世話係が聞いたら、卒倒するかもな。

仕方ないだろ。恨むなら、庶民の俺を世話係に任命した、お偉いご当主様を恨んでくれよ。