アンハッピー・ウエディング〜前編〜

「冷蔵庫に入れて保存…は無理だな。とてもじゃないけど冷蔵庫に入り切らない…」

ある程度、せめて冷蔵庫に入る大きさまで食べてしまわなくては。

それにしたって、不可能に近いぞ。

つーかこれ、何処から切れば良いんだ?

下の、土台になってるデコレーションケーキの部分から切るべきか?

でも、下から切ると土台がなくなって、上が崩れるよな…?

じゃあ、上のタルトケーキから食べるべきか。

そうは言っても、あまりにケーキの背が高くて、ケーキをカットするだけでも重労働。

手ぇ届かないから。脚立持ってこないと。

四苦八苦、苦労して何とか切り分けたは良いものの。

二人分、大振りにケーキをカットして取り皿に乗せたが。

この程度、まさに氷山の一角。

全然減ってない。五分の一どころか、十分の一くらいしか減ってないぞ。

味は美味しかったよ。めっちゃ美味しかった。

さすが、無月院本家お抱えの料理人が作るだけのことはある。

そこらのケーキ屋のケーキより、全然美味しい。

使ってるフルーツも、よく売ってる缶詰のシロップ漬けのフルーツじゃなくて。

ちゃんと皮から剝いたであろう、新鮮なフルーツが山程使われていた。

生クリームも甘さ控えめで、見た目よりはあっさり食べられる…けれども。

それでも、3皿目でギブだった。

胃の中、ケーキでいっぱい。

「もう無理…これ以上食えねぇ…」

一年分のケーキ、一気に平らげた気分。

それなのに、超巨大ケーキはまだまだ大量に残っている。

二人がかりで、夕食返上してケーキだけ食べまくって。

それでも、まだ四分の一も減ってない。

恐るべし、超巨大誕生日ケーキ。

こんなに残ってちゃ、切り分けて冷蔵庫に保管することも出来ない。

ってか、生モノだし、真夏だから、冷蔵庫に保管するのもあまり良くないのでは?

可能な限り、急いで食べてしまうべきだ。

しかし、俺にはもう無理。

これ以上食べたら吐く。

「どうすりゃ良いんだ…これ…」

いっそ、迷惑を承知でご近所の皆様に配って回るか…?

途方に暮れている俺を見て、寿々花さんが。

「…悠理君、また困ってる?」

「は?」

振り返ると、寿々花さんが泣きそうな顔をしてこちらを見ていた。