アンハッピー・ウエディング〜前編〜

さて。

ススキ花火、スパーク花火と楽しみ。

他にも、手筒花火やロケット花火、ネズミ花火なんかを楽しんだ。

庭広いから、場所を取るような花火でも余裕で出来るんだよ。

いやぁ、庭が広くて良かったって、今日初めて思った。

普段は、草むしりが大変なだけで、良いことなんて何もないと思ってんだが。

こうして庭に出て遊ぶときは、広い方が有り難いよな。

最後に皆で線香花火をして、恒例の、誰が最後まで花火を持っていられるか勝負した。

このときばかりは、中二病発動中の乙無にも線香花火を渡して、ゲームに参加してもらった。

で、勝負の結果。

「…あっ、終わった」

真っ先にバケツの中に火種がポトッと落ちたのは、なんと俺だった。

はえぇ…。寿命短か過ぎだろ、俺。

そして。

「ぶははー。星見の兄さんだっせー。一番に脱落、って、ぎゃーっ!自分も落ちた!」

俺の線香花火が落ちた数秒後に、雛堂の花火も落下。

で、俺がダサいって?

数秒後に落ちたあんたはどうなんだよ。

「やれやれ、だらしない二人ですね」

「燃えろ〜。長くなが〜く燃えろ〜♪」

余裕の表情の乙無と、楽しそうに自作の歌をハミングする寿々花さんの線香花火は、まだまだ落ちる気配がない。

しぶとく生きてんなぁ…この二人…。

いつまで続くんだ?

結局、そのまましばらく経ってから。

ようやく、花火がバケツの中にポトリと落ちた。

先に脱落したのは、寿々花さんであった。

「あ、落っこちちゃった…」

「あぁ。終わったな」

「…落っこちちゃった…。落っこちちゃったよ〜、悠理君…」

「ちょ、涙目になるなって。いつかは落っこちるもんだ。あんたのは長く保った方だろ」

俺なんか、開幕速攻落っこちたからな。

それに比べれば、寿々花さんの線香花火は相当粘った方だよ。

あんたはしぶとく生き残るタイプだな。

で、そんな寿々花さん以上にしぶとかったのは。

「やれやれ。皆さんはまだまだですね」

「…」

ドヤァ、とドヤ顔の乙無だった。

…くっだらねぇことでマウント取ってきやがってよ。

結局、乙無の花火が落っこちたのは、寿々花さんの花火が落ちた数十秒後だった。

「ふっ。これが邪神の眷属の実力です」

「すごーい。やっぱり、私もじゃしんのけんぞくやるー」

うちの寿々花さんに、つまんないこと吹き込まないでくれないか。

寿々花さんまで、ある日突然「私の右腕が疼く…!」とか言い出したら、俺はどうすれば良いんだよ。