アンハッピー・ウエディング〜前編〜

雛堂と乙無が、家に上がると。

「うっ、ま、眩しい…!何だこの家。廊下なんて超ピカピカしてるし、玄関広っ…!ホテルのロビーかよ!」

新築だからな。

外装も立派だし、内装も立派だよ。残念だったな。

しかし、雛堂が驚いたのは家の内装だけではなかった。

「…ほぇ?」

「…」

リビングに行くと、寿々花さんとご対面。

寿々花さんは突然やって来た客人に、きょとんと首を傾げ。

「…知らない人だ」

すすす、と俺の背後に隠れた。

人見知り発動。

「大丈夫だ。変な奴らだけど、確かに変な奴らだけど、悪い奴じゃないから」

「…何で変な奴って2回言ったんですか?」

乙無が何か呟いていたが、聞こえなかったことにした。

変な奴の筆頭があんただよ。

「だぁれ?この人達」

「あぁ、えーっと。学校の友達」

「…悠理君のお友達…」

俺の影に隠れながら、しげしげと雛堂達を見つめる寿々花さん。

臆病なんだか、好奇心旺盛なんだか。

「勝手に家に呼んでごめんな。でも、今日は寿々花さんと一緒に、家で花火大会する為に来てくれたんだよ」

と、説明した。

「…花火?家で?…燃やすの?」

「…燃やさねーよ」

何を想像してるんだ。

家庭用の花火知らないのか。このお嬢様は。

「家で出来る花火があるんだよ。そりゃ花火大会に比べたら小さいけど…。何もしないよりはマシかなと思って」

「…」

「寿々花さんが食べたいって言ってた屋台グルメも、それっぽいものを一応用意してみた。これで満足してくれ…とは言わないが、妥協してくれ」

俺に出来るのは、精々ここまでだ。

これでも頑張ったから、今年はこれで妥協してくれ。

すると。

「…!ありがとう、悠理君」

家で花火なんかやったってつまらない、と言われたら悲しかったが。

寿々花さんはようやく、二日ぶりの笑顔を見せてくれた。

良かった。

「もう少し暗くなったら始めるから、準備しておいてな」

「うん!楽しみだー」

嬉しそうで何より。

昨日花火大会が中止になったの、余程ショックだったんだろうなぁ。

元気を取り戻してくれたようで、よかっ…。

「…なぁ、素朴な疑問なんだけど」

「…あ?」

雛堂が、能面みたいな顔で聞いてきた。

「…今のってもしかして、いや、もしかしなくても…無月院家のお嬢様じゃね?」

…あっ。

そういえば…初めて会うんだっけ。