アンハッピー・ウエディング〜前編〜

その日は結局、俺が作った特製お子様ランチ(ちゃんとオムライスに旗を立ててあげた)のお陰で、何とか機嫌を直してくれた。

…の、だが。

やっぱり、酷く落胆しているのは変わらないらしく、ずっと冴えない顔をしていた。

うーん。可哀想。

どうにかしてあげられないものか、と一晩かけて考えたのだが…。

中止になってしまったものはどうしようもないし、やっぱり来年に期待するしかない。

しかも、その翌日。

皮肉なことに、窓の外はカラッと晴れていた。

おい。天気予報雨じゃなかったのかよ。

昨日の豪雨が嘘のような、真っ青の晴天。

天気予報を見てみると、明日以降も曇りのち晴れに変わっていた。

嘘だろ。昨日の天気予報を見たところ、一週間くらい先までずっと雨だったのに。

花火大会が中止になったその翌日から、何だこの変わりよう。

昨日の時点でこの天気予報だったら、中止じゃなくて、せめて順延になっていたかもしれないのに。

既に中止を決定した以上、俺達は来年を待つ以外、どうすることも出来なかった。

まるで、お天道様におちょくられているみたいだ。

「…今日は晴れてるのに…」

案の定寿々花さんは、窓の外を見て、ずーん、と落ち込んでいた。

あぁほら。言わんこっちゃない。

花火大会が今日だったらなぁ…。何の問題もなく開催されていただろうに…。

この調子じゃあ、また寿々花さんが玄関に蹲りかねない。

何か方法はないものかと、俺は色々と調べてみた。

この近くで、別の花火大会の予定がないか、とか…。

…でも。

「…駄目だな…」

俺はスマホを使って、この近辺で他に花火大会の予定がないかを調べてみた。

の、だが…それらしい花火大会の予定はなかった。

電車で二駅くらいのところで、かろうじて、小規模な花火大会が開催される予定になっていたが。

これ、先週の日付なんだよな。

もう終わってるじゃん。

8月中に花火大会…。他の場所で…。と、あれこれ検索してみたが。

やっぱり、近くに行ける距離ではなさそうだ。

しばらく調べて、ようやく一件見つけたけど。

場所を調べてみると、ここから電車で片道一時間はかかる。

しかも、3回も乗り換えして、更に最寄り駅からバスで40分の距離。

とてもじゃないけど、土地勘のない人間が行くような場所じゃない。

うーん…無理そう。

不味いぞ…。このままじゃ、また寿々花さんが落ち込んで、玄関に蹲ってしまう。

何か方法はないものか。せめて、食べたがってたりんご飴くらいは食べさせてあげたい…。

そう思って、俺は近所のスーパーマーケットに行って、りんご飴が売ってないか探してみた。

…が。

「…ないな…」

まぁ、案の定って言うか。

なかなか、スーパーに売ってるようなものじゃないよな…りんご飴って。